昨年度は、交付申請書に記載した研究の目的、研究実施計画に沿って、新潟県内の聖籠町立聖籠中学校を調査対象とし、生徒の居場所に関するアンケートと10日間の単独・集団行動の生徒に対し行動観察調査を行い以下のことを明らかにした。 1)生徒の環境行動によるアンケート 授業間休みの居場所は、学年が上がるに従って学校全体に分散する傾向があり、生徒自らが居場所選択を行いながら生活していることがわかる。これらは、人的要因によるものであり、低学年の生徒は他学年を意識する傾向にある。また、男女による居場所選択の違いとして、男子生徒は主にホームベースを居場所とし、女子生徒は学年が上がるに連れて次教室・その他の場所という回答が増加しており、男女によるすみ分けが行われている。 2)生徒の行動観察・移動の行動把握 学年により居場所選択に違いが見られた。1年生は、上級生や友達などの他生徒を意識して、教室内を居場所として大集団を形成していた。2・3年生は他生徒への意識が弱くなり、2年生は主に教室の周辺、3年生はその他の場所を居場所としおり、多様化している。特に3年生男子は、ホームベースを居場所とし、3年生女子は廊下・トイレを居場所として休み時間を過ごしており、学年が上がるに従い学校全体へと行動領域を拡大している。その傾向は女子の方が顕著である。 昨年度の調査における授業間休みの生徒の行動特性と居場所選択は、学年・男女によって集団規模を変化させ、時間・空間をずらしながら行われており、集団帰属行動と集団からの回避行動に配慮した学校建築計画にとって重要な知見である。
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