研究課題/領域番号 |
20560571
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高井 宏之 名城大学, 理工学部, 教授 (00324541)
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研究分担者 |
藤本 秀一 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (10360463)
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キーワード | 公的宿泊施設 / 長寿命化 / 有効利用 / 再利用 / 用途変更 / コンバージョン / 遊休化 / 建替え |
研究概要 |
昨年度に引き続き、施設の現状とこれまでの経緯の把握を目的とした質問紙による郵送調査を継続実施した。その結果、調査対象304事例に対し、有効回収数97事例(有効回収率43.9%)の回答を得た。また、この調査で回答の得られた事例等の中から、有益な示唆が期待できる15事例について現地調査&ヒアリング調査を行った。その内訳は、「経営/運営者変更」が8事例(昨年度も含めると計13事例)、「用途変更」が5事例(昨年度も含めると計7事例)、「更地」が2事例であった。 これらの調査から次の点が明らかになった。1)所有・経営・管理などの諸主体は、近年公から民へ急速に移行しつつあるが、耐震設計基準の問題や施設内容や立地など、有効利用に対するハードルは低くない。2)しかし、公的宿泊施設には、収益性を求められる宿泊施設と共に、公的施設・地域施設としての役割と期待があり、新たに施設に関わる主体の意識も高い。3)各施設の建物特性の的確な読み取りや、立地特性を踏まえたアイデア形成や役割の再構築が今後の重要課題である。 一方、これらの事例に関連する3つの自治体、1つの設計事務所にヒアリング調査等を行った。特に前者からは、自治体は基本的に縦割り組織であり、特に従後の用途に対応する部局が当該事例の状況のみを把握しており、宿泊施設の有効利用全体について総合的に把握できていないことが明らかになった。 次年度は、取りまとめの年度であるが、質問紙による郵送調査は郵政系の施設は不十分であり引き続き実施する。またヒアリング事例については、「遊休化」と「建替え」などの事例が不十分であり、この実施を急ぐと共に、有効利用の手法の検討・提案をとりまとめる予定である。
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