研究課題/領域番号 |
20560571
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高井 宏之 名城大学, 理工学部, 教授 (00324541)
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研究分担者 |
藤本 秀一 独立行政法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 主任研究員 (10360463)
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キーワード | 公的宿泊施設 / 長寿命化 / 有効利用 / 再利用 / 用途変更 / コンバージョン / 遊休化 / 建替え |
研究概要 |
昨年度に引き続き、施設の現状とこれまでの経緯の把握を目的とした質問紙による郵送調査を継続実施した。その結果、本年度は40事例を回数、全研究期間では調査対象412事例に対し、有効回収数137事例(有効回収率42.3%)の回答を得た。また本年度は、更に1事例の現地調査とヒアリング調査を行い、全研究期間では計23事例となった。またこの1事例は現所有者が自治体であり、立地する自治体の視点からの評価もヒアリング調査を行った。また本年度は、公的宿泊施設に詳しい専門家2名に対し、研究結果を示してのヒアリング調査を行った。 郵送調査からは次の点が明らかになった。1)所有・経営・運営などの諸主体は、近年公から民へ急速に移行しつつあるが、耐震設計基準の問題や施設内容や立地など、有効利用に対するハードルは低くない。2)しかし、公的宿泊施設には、収益性を求められる宿泊施設と共に、公的施設・地域施設としての役割と期待があり、新たに施設に関わる主体の意識も高い。3)各施設の建物特性の的確な読み取りや、立地特性を踏まえたアイデア形成や役割の再構築が今後の重要課題である。 事例の現地調査とヒアリング調査からは、個別事例の置かれた立地特性、諸施策・制度や時代・時期、取得した主体の特性がその後の利用の展開に深く関わることを明らかにできた。 これらから導かれた結論・提案は次の通りである。1)上記の公的宿泊施設の3側面(役割・期待)は、企画・計画段階から現在に至る時間軸の中で、求められる要件は激変してきた。2)今日公的宿泊施設の有効利用で求められるものは、これらの変化に対応し、既存建物の利活用を前提とした、利用・経営・運営面の改善・再編である。3)有効利用の手法には基本的な作法はあるものの、汎用的な解は存在せず、各事例の立地・建築の特性、当該地域の主体の存在やモチベーションとの関係の中における特殊解的なものになる。
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