研究課題/領域番号 |
20560572
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
山崎 古都子 滋賀大学, 教育学部, 教授 (50024013)
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研究分担者 |
田中 宏子 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (00324559)
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キーワード | 減災 / 既存住宅の安全性 / 住宅の点検修理 / 生活管理責任 / 家事労働のジェンダー性 / 家事労働の商品化 / 減災教育 / 教師の減災意識 |
研究概要 |
本研究は既存住宅の評価が住宅の安全性・居住性の低下を誘引し、地震等の災害リスクを引き起こす原因を明らかにすることと、それを打開するための減災教育のあり方を考察することを目的にしている。初年度の2008年度は2つの課題に取り組んだ。 課題1. 琵琶湖西岸断層帯上に位置する地域の戸建て住宅の居住者を対象に、住宅の耐震性と点検修理技術に関する調査を実施し、以下のことを明らかにした。生活実務(家事労働)の責任者には種類と内容によってジェンダー性があり、住宅管理実務は男性の責任の範疇に入る。現行の家事労働は圧倒的に女性の責任に属する種類に偏っており、それも次第に商品化を強め、技術が伴う内容は省略される傾向にある。したがって住宅の耐震性を強化に必要な技術を伴う住宅の点検・補修管理実務の実践率は低く、関心も薄い。本調査から得られた実態と、住宅の安全性が居住者の自己責任に置かれている制度的仕組みを併せて考察すると、安全性の維持に足るだけの責任が果たされていない。また災害リスクが高い地域は高齢化が急速に進み、住宅管理技術を保有する居住者も生活実務に携わることが難しくなりつつある。21年度は社会的支援制度のあり方も含め引き続き本調査の分析・考察を進める。 課題2. 阪神淡路大震災の被災地である兵庫県芦屋市と、滋賀県高島市の小学校教員を対象に教室等の安全性や減災の状況、教師の減災に対する意識と関心、減災教育の実態、減災教育で育成したい能力について、予備調査を実施した。結果.地震災害に対する教師の関心は高いが、日常の私生活および教育の中で減災行動を実施している比率は阪神淡路大震災の被災地と、非被災地、非被災地の中でもボランティア体験者と未体験者の間で格差があること、女性教師の実践率が低いことなどの課題が浮かび上がってきた。21年度はこの調査を踏まえて本調査を実施する予定である。
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