平成20年度においては、2種類の調査を実施した。 一つは、歴史的な市街地、都市の中心市街地、農村集落のそれぞれにおいて、高齢者の生活実態、外出行動と交流活動実態、そして、自由な出入りが可能なゆるやかな交流行動の場であるサロン的空間の実態についての調査を行った。調査の成果として下記の知見を得た。 伝統的集落においても、高齢者の交流行動は個人的なものと、団体によってプログラミングされた交流行動が多数をしめており、ゆるやかな拘束と広がりのある交流行動を行っている場合は少数である。そのため、個人的なつながり以外には地域での交流の場を持たない高齢者が多数みられた。 那覇市等で推進されている「サロン」的空間は、空間的特性と運営者のマネージメントによる特性によって成り立っており、かつて地域に自然な形で存在した交流空間を改めて設置しようとする動きが確認できる。 もう一つの調査は実践的プログラムによるものであり、子どもの生活空間の改善のために、地域での遊び記憶の調査を行った上で、現在なくなっている遊び行為を復活させる企画を実施し、地域空間の改善課題を明確化、共有化することを試みた。 同調査は、集落環境改善活動が盛んな北中城村大城集落で取り組み、沖縄戦以降の各世代の遊びの特徴が明らかになるとともに、自然に関わる遊び、伝承された遊びの減少や消滅が明らかになった。それに対して、「昔遊び復活企画」を実施することにより、集落内に残る自然環境を再確認し、今後の集落環境の保全・改善課題を知ることができた。 なお、本課題は追加採択であったため(10月決定)、年度内には成果発表や公表は行っておらず、平成21年度以降に予定している。
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