近年「住民参加型まちづくり」として各地でワークショップが多数行われているが、それらの成果が必ずしも実際の計画に活かされているとは言いがたい。特に子どもを対象とした場合には、計画を作っただけで終わってしまうことも少なくない。「こどもにやさしい」とは「すべての人にとってやさしい」ことである。日本の都市が「子どもにやさしい都市」に移行していくための方法として、子ども・青少年の参画手法の開発が必要である。そこで、EU諸国では250都市以上、環アジア太平洋地域でも90都市以上の自治体が進めているユニセフの「こどもにやさしいまちづくり」施策を実施している都市について、子ども・青少年のまちづくりへの参画方法に関する調査を行った。 調査では、行政がユニセフで示されている9つの基本条件を取り込んでおり、地域の大人が子ども・若者の参画を支え、行政内部でも連携が進められていることが成功要因のひとつであることが明らかになった。日本以外のアジア諸国では、ユニセフの基準を活用した「こども・若者の参画に関する都市の評価スケール」の開発にも取り組んでいた。都市戦略としてこのユニセフのしくみを導入している自治体は日本ではまだひとつもない。しかし市町村レベルとして施策に盛り込みたいと関心を持っている自治体は数は多くないながらも日本全国にあることも明らかになってきた。そこで今後は日本の社会システムに合った評価スケール、自治体のまちづくり計画策定に子どもの参画を進めるための手法、そして行政の計画へ結びつけるプロセス、の開発により日本国内のしくみづくりとネットワークの整備を進めるとともに、国際的な評価基準にも適合できるものに発展させることが必要である。
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