研究概要 |
本申請課題の目標は,大量に蓄積された地域公共施設をマネジメントする技術を基礎として,地域が自律恒常的に公共施設空間を提供し続けられるシステムを構築することであり,具体的には下記の研究を行う. (1)空間機能の基本的要因を整理し,既存類型に囚われずに要求に対応できる空間類型を提案する. (2)既存公共建築物の空間機能を規定する特性に着目して転用の手間を整理し,転用可能性とその社会的負担を定量的に評価する手法を開発する. (3)活用可能な建築物と需要の空間的位置関係に着目して,地域公共サービスの需要と供給の空間的ポテンシャルを表し,そのバランスを明確化するモデルを提案する. (4)以上を総合し,需要への対応度ごとの社会的負担を明確化するモデルを提案する. このうち本年度は下記の研究を行った. (1)対象地域,対象公共施設・建築物の設定 東京都多摩市を選定し,他地域(台北市,国内合併自治体)と比較した.また対象公共施設は,集会機能を持った施設とした.さらに公共建築物は,施設の種類に囚われず多様な建築物とした. (2)建築物ストック諸元データベースの整備と空間性能評価軸の抽出 多摩市の全地域公共建築物建築物の設計図書・改修記録からこれまで蓄積した諸室の床面積,階高,天井高,梁下高から仕上げにいたるデータをデータベース化した. (3)利用者アンケートから空間機能に関する施設選択理由を抽出 これまでに実施した地域公共施設利用者へのアンケート結果から,施設選択理由のうち空間機能に関するものを,空間性能に関するものと設備備品に関するもの分けたうえで,集計分析した. (4)施設選択行動をモデル化 上記のアンケート結果から,立地に関する施設選択理由を抽出し,分析し,最近隣選択,すなわちボロノイ図による施設選択以外の選択行動を把握し,これに基づいた施設選択行動のモデル化を行った.合わせてウェブによる施設予約システムの実態調査を行った.
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