2006年バリアフリー新法下において重要となる、視覚障害レベルに応じた公共施設のわかりやすさに関する系統的評価を実現するための「視覚障害レベルに応じた疑似体験のシステム」の開発とその有効性検討を目的とする。第2年目は第1年目に開発した視覚障害レベルに応じた視覚映像実験装置を活用して、迷路における視覚障害レベルの特性、および空間的対処法(目印、ライン)における特性と視覚レベル閾値を明らかにした。この結果、開発した「視覚障害レベルに応じた疑似体験システム」による空間探索実験の有効性を確認したと共に、公共施設でのわかりやすさ評価実験として、「目印」と「ライン(床上線)」の特性と視覚障害レベルの閾値を測定した。第3年目には、それらを総合的にまとめ、情報障害レベルに応じて迷いやすい地点を明らかにする方法を検討した。 具体的には以下の3つの実験を行った。 (1) グリッド迷路における視力低下レベルに応じた迷い実験 視力低下再現映像処理の多段階レベルごと、均一なグリッド迷路での探索課題を実施し、立ち止まり回数の多い点、見回し回数の多い点、間違い回数の多い点を特定し、それを総合化して迷い地点の発生特性を分析した。 (2) 行き止まりのあるグリッド迷路における視力低下レベルに応じた迷い実験 グリッド迷路における視力低下レベルに応じた迷い実験 上記実験と同様に、均一なグリッド迷路での探索課題を実施し、迷い地点の発生特性を分析した。 この実験の結果、迷い地点は視覚障害レベルによって異なり、特に視力0.3以上と0.3未満では、その発生特性が大きく異なることが明らかになった。さらに行き止まりのあるグリッド迷路では、上記の特徴がより顕著になることが明らかになった。
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