本研究は、児童養護施設を対象として、小舎化・個室化という施設の空間・環境が児童の生活やスタッフの関わり方等にもたらす影響を、子供の発達のプロセスの視点から捉えることを目的とする。全国アンケートから施設の抱える課題を捉えるとともに、小舎制・大舎制を含む5施設における生活観察調査を実施した。その結果、子供の発達に伴う施設空間の意味/役割の変化をモデル的に提示することができた。小舎化・個室化に対する多くの施設の期待がある一方で、実際には形だけの小規模化にはさまざまな課題がある。施設の養育方針と整合性を保つ物理的環境の整備が重要である。
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