研究計画に従い、本年度は建築の「内外装接合部の収まり」を対象とし、調査・分析を加えた。現代の建築において、様々な「内外装接合部の収まり」は、建築の構成上重要な位置を占める。これは収まりが複数の構法レベルにまたがって存在し、複数の属性を調整して実現されるためである。こうした複数の部位にまたがる収まりの解決手法は、一部の専門家や建材メーカーの知識や技術に頼る傾向にあり、その全体像は明らかでない。本年度はこのような視点のもと、様々な「内外装接合部の収まり」に対し、構法の体系化理論を適用し、デザインの実現の上で重要なディテールの解明を目指した。 本研究では意匠設計を「構法の属性を操作する行為」と定義し、造形原理を客観的に把握することを目指している。収集した階段設計の手法は、「構法レベルごとの構成要素」とその「属性の操作」によって分類・整理した。ここから構法上の問題点が多い「属性の操作」に対する要求を抽出し、これらを「構法属性要求」と位置づけた。一方で「内外装接合部の収まり」に関わる機能的側面の要求を網羅的に収集し、「構法属性要求」との適合性について分析している。 20年度、21年度の成果である「ファサード」と「階段」の構法属性要求の分析と合わせ、新たに提示した概念である「構法属性要求」の基本的な枠組みを確立し、今後の設計ならびに建築構法の評価・検討に資する思考フローのあり方を示した。本論文で収集した手法は資料カードとして系統的に蓄積することができた。
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