5ヵ年計画の2年度目に当たる本年度は、次年度以降の調査の基礎研究として、調査結果の分析を行い、各地域における子どもの空間認知モデル・指標について検討を行った。 (1)集住体における児童のケッチマップに関して中・高層住宅群の集住体である幕張ベイタウンと低層高密度よりなる月島の歴史的な既成市街地におけるイメージ構造を把握するため、児童の描いたケッチマップと実空間との相違や「まちがい」の構成について分析・検討を行なった。具体的には 1):描かれた建物、目印、道路等の要素の描き方のパターン(イメージの形成)の分析 2):イメージの形成において重要となる要素の分析 3):K.リンチが提唱した都市の構成要素の5分類、イメージアビリティの分析 4):実空間とイメージとの相違からみたイメージ構造の分析 以上のことから、被験者を地域住民の児童とし、空間的イメージの変遷過程を児童の年齢や行動特性との関係性から導き、環境認知に基づき児童の生活行動や児童が、どのように周辺環境を認知しているかを考察した。 (2)さらに安全・安心という視点に立った子供の育成環境についての研究に向けて、子供に限らず日常生活において我々の生命身体の安全を守る上での重要なサービスであるという視点から救急医療システムに関する考察を行った。千葉市を研究対象としてドクターカーステーションの適正配置を設定することにより地域空間情報に着目した圏域的な利用圏の分析をし、救急医療システムにおけるドクターカーシステムの導入に際して、適正配置を行う際の判断基準となる具体的な数値による指標を提示した。 次年度はこれらの成果を踏まえ、子供のイメージ調査を実施する予定である。
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