本研究は、地域環境を教育のための空間としてとらえ、児童を取り巻く生活環境の実態と空間認知について分析・考察することにより、街の空間構成と児童のイメージ構造の関係性を把握、地域で子供を育てるネットワークモデルを検討し、建築・都市・地域計画における計画的方法論への展開を目的としている。これまで、発達段階における子どもの生活環境の実態と空間認知の関係性をとらえ、複数の集合住宅で地域も一体となった空間単位の集合としての「集住体」における子どもの空間認知を分析する事により、子どもの生命・成育環境を計画する際の手法を構築するために、集住体における児童をとりまく生命・成育環境の子供を育むネットワークを、周辺環境も含めた中層集合住宅の集住体における環境認知の調査を行い、集住体の計画手法構築の資料として居住者の認知特性と変化要因及びその構造を考察する事が出来た。さらに、環境認知を形成する構成要因、居住者の特性を把握し、低層・中層・高層・超高層の集住体における、住環境としての空間的「まとまり」ごとに相互分析として、①地域を含んだ広域での環境認知及び集住体内での環境認知について検討。②超高層から低層高密度住宅における児童のイメージの検討。③実空間とイメージとの相違のイメージ構造分析。④歴史的市街地街区の近隣や生活領域の意識の時代変化を分析。等々の計画指針の検討を行うことにより、安全・安心という視点に立った子供の育成環境についての研究に向けて、一つの小さな街として成り立つ集住体における、子どもの生命・成育環境を計画する際の計画・設計手法を構築するための計画的方法論を提示した。
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