和歌山県橋本市の中心市街地において、町並みと大工集団の関わりを調べるため、本年度は以下の調査研究を重点的に実施した。 1)当該地域内における歴史的建造物の建築調査 平成21(2009)年度は旧梅谷・小嶋家住宅(橋本主屋:18世紀中期、明治時代中期頃改造)、畑中家住宅(橋本主屋:18世紀中期、昭和29・1954年増築)、田中家長屋2棟(古佐田大正時代末期)、田中家住宅(橋本主屋:昭和時代初期、昭和33・1958年増築)、堀江家住宅(東家離れ座敷:18世紀末)、畑萬金物店(橋本主屋:文政5・1822年、昭和6・1931年増築)、火伏クリニック(橋本主屋:19世紀前期)を実施し、畑中家住宅(幣串1本)、田中家長屋2棟(幣串2本)、田中家住宅(幣串1本)、畑萬金物店(棟札2枚、幣串1本)など建築年代を示す幣串、建築史料などの発見をみた。 2)幣串についての比較調査 文献調査を通して、近代の建築儀礼における幣串の役割などの考察を実施した。併せて、当該地域以外の新潟県中越地域に位置する三条市、長岡市などにおいても建築における幣串残存の確認を調査した。なお、当該地域においては建築物外側妻面に、幣串を釘にて打ち付ける事例のあることを確認した。 3)東家地域内における文献調査 平成21(2009)年度は、東家地域における史料の発掘に努めるとともに、それらを用い、当該地域の町並みについて歴史的な展開の考察を試みた。
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