研究課題/領域番号 |
20560606
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研究機関 | 長岡造形大学 |
研究代表者 |
平山 育男 長岡造形大学, 造形学部, 教授 (50208857)
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研究分担者 |
藤川 昌樹 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (90228974)
西澤 哉子 長岡造形大学, 造形学部, 研究員 (90440453)
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キーワード | 幣串 / 大工 / 上棟式 / 和歌山県 / 橋本市 |
研究概要 |
橋本市中心市街地においては少なくとも明治時代後期頃から、建築物の上棟式に際してはそれ以前の棟札から幣串の作られたことが、都市再開発によって解体を受ける建物の遺構調査から明らかとなった。そして幣串は上棟式に際しては大工達により複数本が制作され、上棟式の後はこの幣串を大工、左官、瓦製造業者などが、自宅などへ持ち帰ることが、それらの職人の住宅調査を通して明らかとなっている。本年度は特に、橋本市の中心市街地である古佐田に在住し、当地において大工職を数代に渡って生業とした太田家における聞取り調査を実施し、太田家2代が手掛けた昭和36(1961)年から昭和56(1981)年のおよそ20年に渡る上棟式に関わる21本の幣串を確認するに至った。幣串には表面に「祝上棟(式)」の文言のほか、施主名、裏面には上棟式の年月日、施工者名が記され、釘打の痕跡が残らないことから、これらの幣串は上棟式後に、当該の建物に取付けられることなく直接持ち帰られたことは明らかであった。ところで、この幣串に施主の住所は記されないが、それを知ることで、逆に言えば、当該する大工の商圏を把握することとなる。そこで、50音電話番号簿、職業別電話番号簿、住宅地図により、21件中、17件の所在地を同定した。その結果、過半となる9件は同一町内で、隣接町内までの数は13件となった。さらに番地までを確定させることができた13件について太田家からの直線距離を求めると平均は710mで、徒歩圏における生産活動を裏付けることができた。
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