本研究は、第二次世界大戦前に形成された南洋(特に旧南洋群島を中心として)の日本植民都市について、当時の「暮らし」に焦点をあて、内地出身者、沖縄出身者、社宅居住者、農民、現地住民など、当時を記憶するさまざまな人々の聞き取り調査や当時の生活を物語る資料収集を行い、太平洋の日本型植民都市の都市像をハードとソフトの両方から総合的に描き出すことを目的としている。 平成20年度は2回のミクロネシア調査を実施した。現地の関係者の協力により、当時を知る住民の聞き取りを行うことができ、貴重な情報を得られた。具体的な調査日程と調査地は次の通りである。(1)コスラエ、ポンペイ、チューク(トノアス及びウェノ)、サイパン、ロタ、ヤップ(2008年9月)(2)マーシャル諸島マジュロ、ポンペイ(2009年2〜3月) 日本人の生活との接点であった公学校 また、国内でも聞き取り調査を進め、20年度は沖縄県、大分県、東京都、京都府において、南洋庁関係者や南洋興発関係者、自営業者とその家族に聞き取りを実施した。今後、沖縄県内では漁業関係者への聞き取りも実施したい。国内・国外とも聞き取り対象者の高齢化が進んでおり、できるだけ聞き取りを急ぐ必要がある。 さらに資料収集(特に当時の生活の様子が伺える個人写真)を聞き取りと平行して進めている。 国内・国外とも聞き取り対象者の高齢化はかなり進んでおり、できるだけ聞き取り調査を急ぐ必要がある。また、今回の調査に際して、現地の教育文化、歴史研究関係者との協力関係構築も重要な成果の一つであった。今後研究成果を現地の関係者に還元していく予定である。
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