(1)材料として利用されている物質のほとんどが異方性弾性体である。しかしながら、異方性弾性論に基づく解析はその理論の複雑さのために敬遠されてきた傾向がある。本研究ではまず異方性弾性論の数理を解明することと同時に解析に役立つ計算コードの開発を目的としている。(2)さらに格子欠陥の計算に関連してマルチスケールシュミレーションが有効と考えられている。それは、欠陥に近い歪の大きい領域は第一原理計算で処理し、欠陥から遠い領域の計算は弾性論や経験ポテンシャルを用いることで、大きな系でより正確な計算をしたのと同じ効果を得ようとする計算方法である。本研究は格子欠陥の弾性論的な扱いの研究を目的としているのでマルチスケールシミュレーションは重要な応用の1つである。(3)近年の計算機の発達により第一原理計算が可能になった上にそのための汎用コードを使えるようになった。第一原理と弾性論的な扱いをする領域を組み合わせたマルチスケールシミュレーションを研究する予定である。
|