研究概要 |
本研究課題の遂行に当り、最初の1年目は、 ・CeNiのCe→Gdで置換した試料(可能な限り単結晶)を作製できる条件を探し出し、 ・その磁気的な性質をできるだけ広い組成域にわたり測定し、可能な限り詳細な解析を行うこと(→これが、この物質中の重要な役割を果たす電子の状態を知る上で、最も有用)、 ・放射光を利用して微視的視点からも調べ、それにより得られる電子状態を入手することが主たる目的であった。これに対して、 1.本研究の原点となるCeNi単結晶試料を作製し(既に富山大学・石川先生がチョクラスキー法、Cz法により作製済み)、その詳細な磁気測定・解析と微視的な手法の一つである磁気コンプトン散乱法による検討・考察を行った。その結果は、(1)磁気モーメントが磁場に大きく依存すること、(2)明確な磁気的なオーダーは存在しないが、磁気モーメントの大きさは0.1(emu/g)程度はあること、(3)M-H/Tプロットを行うと、測定範囲内で直線に乗るが、温度依存性があること(常磁性体はブリルアン関数で記述可能)であることが分かった。2. Ce→Gdの置換を3at%行った単結晶試料をCz法で作製し、磁気特性を調べた結果は、(1)磁気的な特性は一変し、磁気的オーダーを持ち始めること、(2)キュリー温度は、2K程度であることが判明した。→以上の結果は、国際会議で発表した。3.更に、Ce→Gdの置換を10,15,20at%行った単結晶試料をブリッジマン法で作製し、磁気特性を調べた。その結果から以下のことが判明した;ことが判明した;(1)明確な磁気的なオーダーが確認できること、(2)磁気的なオーダーを失う温度は、組成に応じて10K,15K,20Kと高くなること、(3)Gd以外の元素が、磁気的な状態となり、Gdと反平行に結合しているらしいこと、(4)M-Tは急激に減少し、異常があること。
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