今年度は、本研究課題の中心的物質である(Ce_<1-x>Gd_x)Ni単結晶試料のうち、Gdの濃度が高い組成試料(X=0.8 & 0.5)に焦点を当てながら、X=0.1-0.2のGd低濃度組成試料で見られる磁化の特徴的な振る舞いである、磁化の温度に対して"直線的に"減少する原因について詳細に検討した。 Gd濃度が高い単結晶試料は、連携研究者である富山大学・西村先生にブリッジマン法で作製してもらい、それを富山大学・石川研究室にてラウエ写真を撮り、方位出しを行った。実際に単結晶試料を作製しラウエ写真にて単結晶であることを確認し、方位出しを行ったのは、Gd(=X)= 0.8と0.5の2組成である。そのうち、 (1)X=0.8 については、詳細な磁化測定を行った。一見、強磁性体のように見える磁化の温度依存性を分子場近似(2副格子モデル)によるフィッティングを行うことにより、GdとNiが磁気モーメントを持っていることに加えて、Ceも磁気モーメントを持っている可能性があることが示唆された→これを受けてSPring-8の23番ラインにて、原研との共同研究として軟X線MCDの測定を行ったところ、GdとNiのみならずCeも磁気モーメントを持っており、磁場に対して極めて興味深い挙動をすることが判明した(詳細は、投稿予定の論文に記載)。 (2)X=0.5 については、単結晶試料の作製と方位出しが終了しており、近日中に磁化測定、更にはSPring-8において、軟X線MCDの測定を行う予定である。 (3)X=0.10-0.20のGd低濃度領域で見られる、磁化Mが温度に対して直線的に減少する特異な現象は、Gd-Gd間の交換相互作用定数(=RKKY相互作用)が0.1K~0.2Kに崩落的な減少に帰着できることが判明した。その結果、磁場に大きく影響されることも理解できる(詳細はLT26で発表予定)。
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