研究概要 |
平成20年度の成果は以下の通りである. (1)固溶範囲が有限なガンマ相を安定相として持つCu-Zn,Cu-Al,Cu-Ga,Cu-Cd,Ni-Zn系を選択した。融点が1455℃に達するNiと融点が低くて蒸気圧が高いZnから成るNi-Znガンマ相の試料作成は容易でない。Ishimasa法を用いた電気炉の実験設備を物品費で購入し,最適な温度制御プログラムを完成させ,良質なNi-Zn系のガンマ相の生成に成功した。(水谷、長谷川、竹内) (2)Si単結晶を密度標準物質に選び,トリデカンを溶媒に使った液中秤量法を使い,単位胞内原子数Nの組成依存性に関する正確な実験データをCu-Zn,Cu-Al,Cu-Ga,Cu-Cd,Ni-Zn系について測定することに成功した。これにより,単位胞に導入される空孔の組成依存性を明らかにした。(水谷,竹内,長谷川) (3)我々が開発した遷移金属の価数を信頼よく評価出来るFLAPW-Fourier法で遷移金属を含むベータ相及びガンマ相合金のe/aを評価し、Ni-Al,Ni-Zn,Mn-Zn系などe/a=3/2則が成り立つと信じられてきたHume-Rothely則の破綻を証明した.(水谷,竹内) (4)平成20年3月にSPring-8放射光を利用した粉末結晶構造解析ラインBL02B2でCu-Cdガンマ相合金などの粉末回折スペクトルを測定した.そのRieveld構造解析は平成21年度の課題として残った.
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