研究課題/領域番号 |
20560621
|
研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
長島 伸夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (30354252)
|
研究分担者 |
早川 正夫 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性センター, 主任研究員 (50354254)
足立 吉隆 独立行政法人物質・材料研究機構, 材料信頼性萌芽ラボ, 主幹研究員 (90370311)
|
キーワード | 平面ひずみ / 微小硬さ試験 / 電子後方散乱解析(EBSD) |
研究概要 |
本年度は低炭素オーステナイトステンレス鋼SUS316Lの厚板CT試験片を用い、き裂進展試験を実施し、き裂先端に生ずる平面ひずみ状態の塑性ひずみ域内の個々の結晶の方位解析と、き裂先端の硬さ分布を測定した。以下に内容を示す。 電子後方散乱解析(EBSD)によって得られる方位差の局所分布は、材料の局所的な変形を評価する有用なパラメータであり、微視組織レベルの塑性ひずみ分布を調べる手がかりになる。EBSD測定の塑性ひずみを表すパラメータKernel Average Misorientation (KAM)、Grain Reference Oriemtation Deviation (GROD)について検討した。冷間圧延などで予ひずみを制御した材料は、硬さとひずみ量に良い相関があることから、き裂先端の硬さ分布を測定することにより、き裂先端のひずみ量を推定することができる。微小硬さ試験機により、き裂先端の硬さ分布を測定した。 これらの結果をもとに、平面ひずみ状態の塑性ひずみ分布について検討し、き裂先端近傍の粒界の局所変形特性について検討した。得られた結果を以下に示す。 (1)き裂先端近傍の局所変形はKAMの解析が適して、GRODは適していない。 (2)局所変形は粒界近傍のみであることがKAMにより明らかとなった。 (3)微小硬さ試験による硬さ分布ではき裂先端には500μm程度の塑性ひずみ領域が存在し、その領域の平均ひずみは3%と推測された。
|