非晶質物質の代表としてガラスと高温液体に対してX線回折実験・中性子回折実験・XAFS実験・ラマン分光実験・分子動力学計算を行い、基礎データを集めることになるが、研究初年度にあたる平成20年度は、試料作製のための機器の調整・器具の作製・作動試験を主に実施した。ガラス試料はタリウムホウ酸塩系(B_2O_3-Tl_2O)とし、高温液体としては希土類塩化物とアルカリ塩化物の混合融体(具体的には、希土類元素としてはイットリウムとランタンを選定)を試料とする。ホウ酸塩系はホウ酸にタリウム酸化物を混合させ、それらを溶融・急冷固化させることにより調製することに成功した。ガラスについては、さらに成形・研磨・微粒化を行った。希土類塩化物は、希土類酸化物と塩化アンモニウムとの反応により合成し、これを蒸留精製するのであるが、ここで従来から行ってきた手法に改良を加え、試料純度の向上を計った。特に、試料精製用の蒸留装置を新たに設計し直し、試作試験を行った。X線回折実験用には、新たに取り付けるモノクロメーターを設計し、ラマン分光実験では、高温度での測定に用いるために従来のラマン炉の設計変更を試みた。また、次年度以降に用いる構造解析ソフトの書き換え作業を開始した。
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