研究概要 |
本年度は前年度に引き続き、蛍光体の母体として窒化ケイ素カルシウム(Ca_2Si_5N_8)を対象として,噴霧熱分解して得た粉体の炭素熱還元窒化法による合成条件を検討した。0.714mol-dm-3SiO_2を含むコロイダルシリカ,0.287mol-dm_<-3>Ca(NO_3)_2および2.86×10_<-3>mol-dm_<-3>Eu(NO_3)_3の混合水溶液を超音波噴霧し,600℃で熱分解した。得られた粉体を800℃で10min熱処理し,炭素を混合して成形したのち,Si_3N_4で包埋して1300-1550℃,2h,N_2雰囲気で炭素熱還元窒化を行った。その結果,従来の還元窒化法では1550℃以上でCa_2Si_5N_8の単一相が得られたのに対し、噴霧熱分解法を用いた新規合成法では1300℃程度の温度でCa_2Si_5N_8の単一相が得られた。このようなCa_2Si_5N_8の低温合成は、出発粉体中の成分元素の分散性の良さを反映したものと考えられる。1300℃の温度でN_2雰囲気において還元窒化して合成したCa_2Si_5N_8:Eu^<2+>の粉体の励起・発光スペクトルを測定した。励起スペクトルはブロードで374nmにピークが確認された。一方、発光スペクトルは588nmにピークが現われ、橙色発光を示した。励起スペクトルがブロードであることから青色LEDや紫外LEDと組み合わせ可能な蛍光体であると考えられる。以上の結果から、新規合成法である噴霧熱分解法を用いた新規合成法によって1300℃程度の温度でEu^<2+>付活Ca_2Si_5N_8を合成できることが分かった。
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