研究概要 |
本研究では,超音波噴霧熱分解-還元窒化(USP-CRN)法による窒化ケイ素カルシウム(Ca_2Si_5N_8;1mol% Eu^<2+>;(Ca_<0.99>Eu_<0.01>)_2Si_5N_8)の合成と形態制御について,特に噴霧熱分解用溶液のケイ素源にSi_3N_4を用いて検討を行った。すなわち,(Ca+Eu)/Si比が0.4になるようにSi_3N_4,Ca(NO_3)_2およびEu(NO_3)_3の混合水溶液(溶液濃度:0.2mol・dm^<-3>)を超音波噴霧し,600℃で熱分解した。得られた酸化物-酸窒化物系混合粉体に炭素(化学量論比に対する割合(m);1.50)を混合して1400~1550℃,2h,N_2雰囲気で炭素熱還元窒化(CRN)を行った。噴霧熱分解して得た酸化物-酸窒化物系混合粉体を1500℃以上の温度で2h炭素熱還元窒化するとCa_2Si_5N_8の単一相が得られた。比較のため,ケイ素源にコロイダルシリカ(SiO_2;CS)を使用し,同じくUSP-CRN法によって粉体合成を行った場合と,従来法である固相反応(SSR)法とCRN法との組み合わせによって合成した場合についてもあわせて検討した。いずれの方法で合成した場合もブラックライトを照射した時の発光色は橙色であったが,代表的な黄色蛍光体であるY_3Al_5O_<12>:Ce^<3+>に対する相対発光強度は,SSR-CRN法(0.494)≧USP-CRN(0.452;ケイ素源,Si_3N_4)>USP-CRN(0.0371;ケイ素源,CS)の順になった。ケイ素源にSi_3N_4を使用してUSP-CRN法によって合成したCa_2Si_5N_8:Eu^<2+>粉体の相対発光強度はSSR-CRN法のそれにほぼ匹敵する発光強度を示し,さらにSEM観察によるとこの方法で1500℃,2h還元窒化して得た粒子の形態は規則的で,しかも大きさが2μm程度に揃っていたことから,今後LED 用蛍光体として応用が期待できることが分かった。
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