研究概要 |
Gladstone-Daleの経験式から2.2以上の高屈折率が期待される.Ln_2O_3-TiO_2(Ln=La,Nd and Sm),La_2O_3-Nb_2O_5の2元系酸化物ガラスについて, 目的1)ガス浮遊法で球状バルクガラスを作製し,±0.001程度の精度で屈折率を測定する.測定波長は,632.8nm及び1313nm 本年度成果1)目的に記した,La_2O_3-TiO_2ガラス,Nd_2O_3-TiO_2ガラスの一部の組成,及びLa_2O_3-Nb_2O_5ガラスの屈折率測定終了.全てのガラスで屈折率が2.2以上であり,期待通りの高屈折率ガラスが得られた. 目的2)作製したガラスは,中性子と放射光X線を利用した構造解析実験を実施し,ガラス構造を解明する. 本年度成果2)La_2O_3-TiO_2ガラスの構造を放射光(SPring-8)と中性子実験結果から解明した.TiO_2は酸素5配位と6配位があり,La_2O_3は酸素8配位であることがわかった.ガラス中のTiO_2は大きく歪んだ構造ではなく,Ti-O距離はガウシアン的である.従って,これまでに主張されてきた,長短のTi-O結合鎖が大きな分極率(屈折率)を作るモデルではLa_2O_3-TiO_2ガラスの高屈折率が説明できないことが判明した.詳細な3次元原子分布を調査する為,リバースモンテカルロ法で構造解析を実施中. 目的3)ガラス構造情報から,結合軌道理論(Lines理論)を利用して屈折率を計算し,高屈折率とガラス構造の関係を解明する. 本年度成果3)TiO_2の5配位クラスターが屈折率増加に有効であることが,半経験的な理論計算から解明できた.この結果から,TiO_2系ガラスの高屈折率化に重要なファクターが提案できた.
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