研究課題
広い波長域に対して透明であるメソポーラスシリカに、常識では考えられない光触媒機能のあることを見出した。この発現メカニズムを解明するとともに、揮発性有機化合物(VOC)の分解や、エタンおよびメタンから部分酸化によりアルコールを合成する光触媒としての応用を検討している。本年度は、メソポーラスシリカを作製する際、鋳型として用いる界面活性剤の鎖長やミセル形成時の超音波照射の有無などにより、細孔径が7〜1.5nmのメソポーラスシリカを作製した。これらのメソポーラスシリカに対して、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族や、メタン、エタン、酢酸、ノニルアルデヒドなどの脂肪族の分子サイズの異なるVOCを吸着させて、細孔径と光触媒活性との関係、酸化チタン光触媒との差異をGC-MSを用いて調べた。その結果、(1)トルエンやキシレンは、波長250〜380nmの光照射によりベンズアルデヒドや酢酸、最終的に二酸化炭素まで分解されることが分かった。また、(2)光触媒反応には細孔径の制御が重要で、光触媒反応には最適な細孔径が存在する。(3)メソポーラスシリカにVOCが吸着されないと光触媒反応は起こらない。(4)エタンを吸着して、光照射によりエタノールに生成する部分酸化反応が進んでいる。(5)メソポーラスシリカと酸化チタン光触媒とは生成物が異なり、反応メカニズムが異なっている。等の成果を得た。これらは、分子サイズに応じた選択性のある光触媒として、あるいは、次世代アルコール製造技術として、また、従来の光触媒の活性向上のための知見として応用可能な重要な知見と考えられる。
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Proceeding of 1st International Conference on Multifunctional, Hybrid and Nanomaterials
ページ: C1-1-77