研究概要 |
ガラス形成能高いZr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5合金と低いNi_<52.5>Nb_<10>Zr_<15>Ti_<15>Pt_<7.5>合金を選定し、ガスアトマイズ法により金属ガラス粉末を作製した。結晶質の金属(W)或はセラミックス(SiC, ZrO_2等)粒子を均一に分散した金属ガラス混合粉末を用いて、放電プラズマ焼結(SPS)方法により直径20mm、厚さ約5mmのバルク金属ガラス複合材料の作製に成功した。焼結体の組織解析による金属ガラスの結晶化抑止する条件を明確した。この結晶粒子分散型バルク金属ガラス複合材の機械的性質を評価し、その延性の合金組成、組織依存性を検討し、大延性を示す試料の組織特徴を解明した。Ni基金属ガラスの場には、焼結温度773K以下で、金属ガラス相は結晶化することなしガラス相であった。結晶粒子が金属ガラス母相中にほぼ均一に分散した複合材料であることを示している。773K、600MPa、10minの条件で、各種添加量の焼結体の相対密度は97.3%以上になり、粉末粒子間界面は良い接合になった。SPS複合焼結体を室温で圧縮試験を行った結果、圧縮変形時の延性は、結晶粒子無添加のNi基バルク金属ガラス試料より大きく増加し(最大5%以上)、最適な結晶粒子添加量は5-10 vol.%であることが明らかとなった。10%セラミックス粉末添加したZr基金属ガラスの場には、623K以下、600MPa、10minでの焼結体に、金属ガラスのガラス相を保ったまま、結晶化することが認められなかった。圧縮強度では、セラミックス無添加のZr基バルク金属ガラス試料と比較して大きな変化が見られなかったが、圧縮延性はバルク金属ガラス試料より約2%以上に増加することが明らかとなった。この延性向上の原因として、高強度な結晶粒子がせん断滑り帯の進展を抑え、多数のせん断滑り帯の形成を促進することを明らかにしている。
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