研究概要 |
本研究では,強化材としてナノメートルオーダーの高強度ナノセルロース繊維に注目し,このナノ繊維と生分解性樹脂を組み合わせた新しいナノグリーンコンポジットの開発を行うことを目的としている.今年度は,ナノセルロース繊維の配向コントロール装置を試作し,その効果を検証した.その結果,実験条件,特に冷却の温度差に大きな影響を受けることが分かった.また,表面の配向生はコントルール可能であるが,内部の組織コントロールは難しいことも分かった.またさらには処理前のナノセルロース繊維の分散性が重要であることが明らかとなった.この様になる原因として,分散が悪い場合,ナノセルロース繊維同士が絡まり,繊維配向のコントロールが難しくなるためと考えられる.またこの絡まりを起点としてさらに絡まりが成長する傾向も確認され,内部組織コントロールのためにはナノセルロース繊維の分散性が重要であることがわかった.次年度にはこの対策としてナノセルロース繊維の更なる分散性を向上させるためにホモジナイザーを用いて均一分散処理を行う予定である.特別な試料乾燥装置を用いてナノセルロースプリフォームを作製した.しかし,乾燥時の条件によって表面にクラックが発生することが確認された.これらのクラックは試料長手方向に対して垂直に導入されることと,試料長さが長くなると発生することから,凝固収縮に起因したクラックであることが分かり,実験の設定条件を変更することでその発生が抑制されることを確認した.
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