研究概要 |
本研究では,強化材としてナノメートルオーダーの高強度ナノセルロース繊維に注目し,このナノ繊維と生分解性樹脂を組み合わせた新しいナノグリーンコンポジットの開発を行うことを目的としている.今年度は,バクテリアセルロースを用いたナノスケールセルロース繊維で強化した複合材料の試作とその強度特性評価を行った.その結果,凍結乾燥後の表面の性状に依存して樹脂の含浸性が変化することが分かった.この対策として乾燥後にプルフォーム表面に微細な穴空け処理を行うことで含浸性が向上することを見いだした.ナノセルロース繊維を12.5wt.%含む複合材料の引張強さは62MPaとなり,この強度は樹脂単体材の強度(38MPa)の約1.6倍に相当する.また,剛性(ヤング率)においても向上が認められ,ナノセルロースによる力学的特性改善効果が発現することが明らかになった.
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