研究概要 |
2008年度の研究実施計画に基づき(Cu_<0.5>Zr_<0.5>)_<100-x>(Al_<0.5>Ag_<0.5>)_x(X=4,8,12,16,20)命属ガラス(厚さ:約20ミクロン)を液体急冷法で作成し、それらの5種類の試料を用いてCu及びZr原子周辺のEXAFS測定を行った。その結果、延性から脆性に転移する組成で急激な原子構造変化が起こっていることが明らかになった。この結果については、金属ガラスに関する国際会議(ISMANAM2009、2009年7月、於いて:北京)で発表した。 2009年度中にAg原子周辺のEXAFS測定、及び高エネルギーX-線回折実験(SPring-8,2009年7月)を行い、前年度に行ったCu,Zr原子周辺の原子配列の変化を総合的に検討し、一部の組成については、Reverse Monte-Carloシミュレーションを行い、構造モデルの検討を行った。それらの結果については金属ガラスに関する国際会議(ISMANAM2010、2010年7月、於いて:チューリッヒ)で発表した。 2010年度は、2009年で行ったReverse Monte-Carloシミュレーションによるモデル化の塑性範囲を更に拡大して行った。その結果、添加したAg,AlがCu-Zrガラス中に均一に分散するのではなく、平均構造以上にAg-Ag,Al-AlあるいはAg-Alの存在比率が高いことが判明した。この平均以上にAg-Ag,Al-AlあるいはAg-Al対が高確率で存在することが、金属ガラスの形成能に寄与していることが分かった。また、Ag-Ag,Al-AlあるいはAg-Al対の存在比率の変化が延性-脆性転移に密接に関連しているとの示唆が得られた。
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