Cu-Zn合金やSUS316ステンレス鋼の多軸鍛造(MDF)について、変形抵抗の変化や超微細粒組織発達を調査した。Cu-Zn合金は積層欠陥エネルギーが非常に低く、加工中の変形双晶の発達が起こりやすい。実際、室温以下でMDFを行うことで高密度な変形双晶の発達およびそれによる結晶粒の分断により、結晶粒超微細化が著しく進行した。特に、高ひずみ域では内部に変形双晶を高密度に有する超微細パケット状組織が均一に発達した。最終的に結晶粒径を約20nmまで微細化することに成功した。これは、従来の強ひずみ加工法で得られた結晶粒径の下限の約1/10であった。強度は結晶粒微細化にともない顕著に上昇し、変形双晶が強度上昇に寄与することが明らかとなった。SUS316でもほぼ同様の結果が得られた。
|