研究概要 |
低積層欠陥エネルギー材であるSUS304 とSUS316 に対する多軸鍛造(Multi directional Forging/MDF)を室温と極低温度下で行い、変形双晶をより多量に導入させ、さらなる高強度化と結晶粒の微細化を目指した。MDF中の累積ひずみの増加に伴い変形双晶が形成され、その交切により結晶粒径20nm程度まで超微細化が進んだ。結晶粒の微細化は低温度の方がより顕著であった。しかし、MDF中に発生する加工誘起マルテンサイトは結晶粒超微細化を阻害した。そのため、マルテンサイト変態の発生しやすいSUS304-MDF材では、結晶粒径がやや大きく、引張最大応力も1.8GPaにとどまる等、SUS316の特性(最大引張強度2.1GPa,平均粒径20nm)を大きく下回った。両材ともに、高強度であるにもかかわらず、全伸びは20%以上であり、強度と加工性の優れたバランスを示した。
|