「粒子分散型固体超潤滑材料」を高い生産性で作成する手法およびその原理を確立する事を最終到達点とする本研究の最初の段階として、超微粒子のめっき共析における特異性を考慮のうえ、錯形成剤に注目しめっき浴条件を精査することによって多量のナノダイヤモンド粒子をめっき膜の金属マトリクスに共析する条件を見出した。また、ナノ粒子の複合めっき機構に関する手がかりが得られ、めっき膜表面の摩擦係数の基礎的評価法を確立する事ができた。以上の成果は具体的に以下のように記述される。 1. ナノ粒子と金属イオンとの相互作用発現条件として、混酸熱処理を行ったナノ粒子にクエン酸錯体が吸着する現象を確認した。ニッケル、ニッケル・タングステン合金のそれぞれのマトリクスについてナノ粒子上に金属イオンを吸着等によって付与し、金属イオンが還元析出する際に金属マトリクス中にナノ粒子を効率よく取り込むための条件が見出された。また、上記錯体を溶解させた水溶液の吸光度の変化よりナノ粒子表面に吸着した金属イオンの量を定量した。 2. めっき析出フロンティアへのナノ粒子の吸着にともない、めっき速度はやや低下し、カソード分極曲線は卑側にシフトする事が確認された。 3. ナノ粒子複合めっき膜の基本的作製法および析出速度、ナノ粒子含有量、表面形態などの基礎物性の評価法を確立した。 4. 作製された金属-ナノ粒子複合めっき膜のうち良好な膜質を有するものについて、結晶性、硬さ、表面の摩擦係数などの基礎物性の評価法を確立した。 5. 成果のまとめと公表 以上の検討で明らかとなった研究成果を論文、学会等にまとめて発表した。
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