本年度は研究の最終年度として、これまでに得られた全ての結果を整理考察して本研究の工学的価値を結実させること並びに研究成果を社会に還元することに力点を置き下記の項目について行った。 1. ナノ粒子複合めっき機構の確立 これまでに得られたナノ粒子複合めっき膜作製条件とナノ粒子の共析量との相関をナノ粒子と金属イオンとの相互作用の観点から総合的に考察し、申請者が想定しているナノ粒子の高効率複合化メカニズムの妥当性を検証し、ナノ粒子と金属イオンとの相互作用のほか、ナノ粒子とめっき析出フロンティア(析出反応が進行しているめっき表面)との相互作用が重要であるとする、より一般性の高いナノ粒子複合めっき機構を確立した。 2. めっき法による粒子分散型固体超潤滑材料のカテゴリー形成 前項の検討により確立しためっき機構より、工学的、ならびに実用的価値の高い系を念頭に、チタニアナノ粒子を含む新たなナノ粒子複合めっきに関する検討を行った。本研究より得られたナノ粒子の複合めっき機構を応用しめっき条件を最適化する事によって、17%もの多量のチタニアナノ粒子を含むナノ粒子複合めっき膜を作製することに成功した。 3. 成果の総まとめと公表・社会還元 これまでの検討で明らかとなった研究成果は工学的、ならびに実用的意義が大きい。これを社会に還元するため、学会の研究会や各種シーズ発表において研究成果を広く公開し、原理と技術の周知と社会への還元に努めた。特許(整理番号P0910IRI01)および論文についても投稿準備中であり間もなく提出する。
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