イーター事業やNEDO等で展開されている先端核融合炉には大型の超伝導マグネットが使用される予定であり、より高性能な超伝導線材が必要となり、超伝導線材の実用化が各分野で急ピッチで進められている。本年度は混錬複合化技術の再現性を調査して、製法と試作品の最適化を検証した。作製した試料の評価は、SQUIDによる超伝導特性の測定と、TEM、SEMによるミクロ組織観察で行なう。とくに最高の性能が検出された試料については、TEMにより粒子と母相界面の詳細な調査を高分解能透過型電顕にて行い、密着性を確認する。とくに、混錬複合化技術に最も大切な要素となる、押出ダイスの設定を行った。時間の関係で、試作のアルミナ粒子を使用した段階までを検証した段階で終了したが、ベアリング長、ダイス内テーパを変化させることで、より良好な複合化が可能となった。これは、ダイス内での粒子の粉砕とアルミニウム母相の流れを最適化できたことに起因する。さらに、半溶融3次元浸透加工(SS-3DPC)法による複合化技術を最適化するため、マグネシウム合金を主体とした複合材料美レットの製造に注力した。その結果、鋳造用マグネシウム合金であるAZ系、および川系合金での複合ビレットの製造に成功した。今後は、両技術の融合を図ることで、より良好で低コストな線材化が実現すると考えられる。
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