研究概要 |
アルゴンアーク溶解によりC14型六方晶ラーベス相構造を持つCaLi_2を作製した。さらに,CaLi_2の置換化合物であるCa(Li_<1-x>Ni_x)_2;(Ni系;x=0.1,0.2,0.5),Ca(Li_<1-x>Mg_x)_2;(Mg系;x=0.1,0.2),(Ca_<1-x>Y_x)Li_2;(Y系;x=0.1,0.3),(Ca_<1-x>La_x)Li_2-Ni_y;(La系;x=0.2,y=0,0.1)を作製した。それぞれの結晶構造を粉末X線回折(XRD)実験により調べ,Mg系,Y系,La系でC14単相が得られ,Ni系ではCaLi_2とCaNi_2の混相が得られることを明らかにした。 作製した試料のうちCaLi_2およびNi系のx=0.1,Mg系のx=0.1,Y系のx=0.1,0.3,La系のx=0.2,y=0.1について,室温での水素圧力-吸蔵水素量等温線(PCT曲線)を測定した。また,PCT曲線測定後の試料のXRD測定を行って,水素化による試料の結晶構造変化を調べた。その結果,これらいずれの物質も室温で水素と反応し,4MPaの水素圧における水素吸蔵量は5〜7mass%という大きな値を示したが,室温での可逆的な放出反応は見られず,水素化によりCaLi_2とLiHに分解することが分かった。CaLi_2については高温での水素放出に伴うCaLi_2再結合反応の有無を調べたが,300℃では再結合反応は起こらなかった。 以上のように,今年度の実験では今回新たに作製したCaLi_2置換物質群の結晶構造とその水素化特性を系統的に明らかにすることができた。次年度以降は,これらの実験結果による知見をもとにしながら,さらに高周波溶解法やボール・ミル法による試料作製も行って,可逆性を有する高容量Ca-Li系水素貯蔵物質群の探索とその水素化特性の研究を行う予定である。
|