研究概要 |
20種類以上の金属イオンについて抗菌性を評価した。対象とした金属イオンはAg、 Mg、 Mn、 Co、 Ni、 Cu、 Zn、 Pb、 Fe、 Cr、 Al、 Zr、 Mo、 Pd、 Au、 Pt、 Sn、 V、 Ti、 Si、 Nb、 TaおよびWの23種類である。試験菌は、グラム陰性菌であるE.coliおよびグラム陽性菌であるS.aureusの2種類である。先ず、抗菌製品技術協議会の試験法に従い各種金属イオンの最小殺菌濃度を測定した。この結果、多くの金属イオンでは試験液のpHが試験菌の至適pHを逸脱し、このpH変化の影響により菌が死滅すると思われる問題が起こり、各種金属イオンの最小殺菌濃度を測定することができなかった。そこで、金属イオン濃度4ppm一定とした試験液における抗菌性定量評価を行った。この試験では金属イオン濃度4ppmとして24時間後の菌数を比較することにより各種金属イオンの抗菌性の強弱を相対的に比較することが可能になる。この結果、最小殺菌濃度および抗菌活性値に基づく金属イオンの抗菌性の順位は試験菌E.coliをとした場合、Ag>Cu=Cr>Zn>Pb>Al>Au>Co=Ni>V>Pt>Pd>Mo=Mn=Zr>Fe>W>Sn>Ti=Si=Mg>Nb>Taとなり、試験菌をS.aureusとした場合Ag>Cr>Cu=Pb>Zn>Mn>Ni>Au>Co>Nb>Pd>Zr>Ta>Ti>Fe>Al>Sn>V>Mo>Pt>W>Si>Mgとなった。また、グラム陰性菌E.coliはグラム陽性菌 S.aureusに比べて金属イオンの抗菌性に対する高い抵抗性を持つ可能性があることが示された。金属イオンの抗菌性の順位とバルク状純金属の抗菌性の順位にはある程度の相関が見られ、金属イオンの抗菌性を周期律表に配置したところ,抗菌性の強い金属は第9族から第13族に多く,抗菌性の弱い金属は第4族から第8族に多い傾向があることが示された。
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