研究課題/領域番号 |
20560668
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀 照夫 福井大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90092832)
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研究分担者 |
久田 研次 福井大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60283165)
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キーワード | 超臨界流体 / 金属錯体 / 無電解めっき / 導電性 / 繊維・高分子 / アラミド繊維 / 電線 / 注入 |
研究概要 |
アラミド繊維は高結晶性で、ガラス転移温度が高く、この主の繊維の機能加工は非常に難しいが、超臨界二酸化炭素を媒体とすることで繊維は僅かに膨潤し、各種機能材の注入が可能となる。本研究ではアラミド繊維に耐久性の高い導電性を賦与する目的で、超臨界二酸化炭素を用いためっき前処理(めっきの核付け)法について検討した。具体には超臨界二酸化炭素に溶解性を有する有機金属錯体(主にPd錯体)から数種を選び、錯体注入時の温度、圧力。時間を最適化し、繊維表面からその近辺の内部までPd等の金属を高濃度に注入・析出させる条件を探索した。また併せて、核付け後の無電界銅めっきにおいてはめっきの密着強度のさらなる向上を目指し、めっき皮膜の接着性向上剤を併用する方法、さらには金属錯体注入後、高温で繊維を乾熱処理することで密着性を向上させる方法についても研究を進めた。その結果、1650d/1000fのアラミド繊維を用いた場合、 1) 電気抵抗値は0.4Ω/mまで低下させることができる 2) 粘着性テープによる剥離試験ではめっきがほとんど剥がれない 3) めっきアラミド線を被覆しケーブル化したものでは屈曲耐久性が通常の被覆銅線にくらべ200倍以上の耐久性がある ことを見出した。現在使用している金属錯体は高価であり、実用化に当たってはこの使用量を低減する方法、他の安価な錯体を見出すこと、超臨界流体処理の温度・圧力等の条件のより温和な条件の探索などが重要であり、次年度以降はこれを中心に検討進める。
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