超臨界二酸化炭素を用い、各種繊維・高分子材料に有機金属錯体を注入し、これを繊維・高分子内部で還元分解させ、金属を析出させる。金属は内部で名の微粒子となって存在し、表面にまで露出している。これを核として利用することで容易の無電解めっきができる。 これまでにパラジウム錯体を中心にポリエステル、ナイロンなどの繊維や高分子プレートについて上記方法で銅めっきについて成功してきたが、本研究では工業的なメリットを考慮し、高強力。高抗張力繊維アラミドのめっき条件を追求している。アラミド繊維は高結晶性でガラス転移温度も高く、錯体の注入にはより強い注入条件が必要であることが分かった。21年度の研究ではできるだけ注入しやすい金属錯体をとの注入条件を徹底的に追求した。具体には用いる超臨界流体装置の限界である150℃、25MPaで30分以上注入させ、その後、さらに取り出した試料を190℃の高温で乾熱処理する方法を見出した。また、フッ素を含むパラジウム錯体(Pd(fha)2とフッ素を含まない錯体(Pd(acac)2)との違いについて、特に超臨界二酸化炭素に対する溶解性、アラミド繊維に対する親和性の大きな違い、さらに還元性の差を明らかにした。 得られた成果をエポキシや液晶ポリマー材料のめっきの応用にも展開した。いずれも従来方法では強固なめっきができなかったが、今回見出した超臨界二酸化炭素流体を用いる金属錯体注入法による銅めっきが十分可能で可能であることを見出した。また、金属錯体を2種混合することによる効果、水素還元による金属析出率の向上およびこの効果によるめっき密着性の向上などの成果を確認した。
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