研究概要 |
次世代電子デバイスやMEMSデバイス実装の基本電極構造となる超多点微細バンプ(突起状電極)の一括作成には自己形成手法が鍵となる。Sn基金属微粒子と低粘性活性樹脂を混合したハイブリッド材料の自己凝集・選択的ぬれ現象を実験的に明確にすることを目的として,実験パラメータとして微粒子供給量,樹脂活性,微粒子表面状態を考慮して,微細溶融液滴の金属電極上へのぬれ挙動の観察とバンプ形態評価により,本プロセスの適正条件を検討した。具体的には実時間の連続画像計測のために構築したCCDカメラによる顕微ビデオ撮像系を有する加熱観察システムにより,自己集積レプリケーションを駆動する凝集,合一,ぬれ現象のミリ秒から秒オーダーの動的挙動を調査すると共に,バンプ形成割合の指標として導入した自己形成率により,得られた微細バンプの形態を評価した結果,共晶Sn-Bi微粒子とシリコーン樹脂の組み合わせでは加熱温度160℃,微粒子の体積含有率10%の条件で自己形成率が80%以上となることを明確にした。自己集積現象では,樹脂流動,フラックス成分による気泡発生,および金属フィラーの溶融・合一を伴い,基板上のランド電極に選択的に金属バンプが形成された。このような過程から自己集積現象は,加熱温度が高温になるほどその動的挙動が促進されること,金属微粒子の体積含有率の過不足により自己形成率が低下すること,活性力の高いフラックスでは自己集積が完了するまでの時間が顕著に短縮すること,過度のフラックス発泡性は気泡増加のみでなくバンプ形態の均質性を損なうなどの知見を見いだした。
|