環境負荷の低い水をプラズマガスとして用いて、水に容易に吸収されるマイクロ波(2.45GHz)を用い、マイクロ波共振器の形状を工夫し、ガス流を放電の安定化に用いたプラズマ源を開発し、大気圧プラズマを用いた表面洗浄、表面改質、有機物分解に関する基盤技術の確立を目的としている。 テーパー型導波管を用いたプラズマ源は計画どおり安定な動作をし、良好なプラズマを生成できたことが、分光的手法を中心とするプラズマ診断により確認できた。さらに生成されたプラズマ下流に存在し応用上重要な酸素ラジカル密度も、当研究グループで開発された白金触媒プローブにより、その絶対値の測定を行うことができた。 様々な応用においてプラズマ中の生成粒子種の把握および制御は極めて重要である。実験によってすべての粒子種の挙動を把握することは事実上不可能であるので、プラズマ中で起こる様々な衝突過程を考慮した数値計算により生成粒子種の全体像を捉えることを行った。さらに、分光分析により、計算された粒子種の一部の挙動は実験的に数値計算結果と比較することができ、ほぼ良い一致をみた。後に述べる二酸化炭素の分解実験中に分光計測を行った結果、水分子の解離生成物が二酸化炭素の流入により急激に消費されるという興味ある現象を捉える事が出来た。 このプラズマ源を用いた応用実験についての進展状況を述べる。第1番目はポリイミドフィルムの親水化処理である。高密度のOやOHラジカルが生成されるため約1秒間の処理で十分は親水性が得られた。プラズマクリーニングの応用においては、良女子なクリーニング効果がえられたが、予想どおりその程度はラジカル密度を直接的に関係することが、触媒プローブの実験をとおして確認された。
|