研究概要 |
鋳鉄中残留オーステナイト(γ_R)量の非破壊評価を行うため,小型電磁気センサーを開発し,γ_Rを0~80%(X線法による)に変化させた16%Cr鋳鉄のγ_Rの測定を実施した.その結果,鋳鉄に交流磁界が印加された場合,渦電流とヒステリシス磁化特性による磁化遅れ(位相遅れ)がγ_Rの増加とともに大きく変化することが判明した.そこで,今年度は小型電磁気センサーの,検出コイル内に鎖交する磁束密度波形と励磁電流波形との位相差の変化量について,ヒステリシス磁化曲線と渦電流を考慮した三次元有限要素法の電磁界解析を開発し,検証実験も含めて検討を行った.その結果,γ_Rが増加するに伴って検出コイル内に鎖交する磁束密度波形の励磁電流波形に対する位相差が減少し,精度よくγ_Rが測定できることが明らかになった.しかし,γ_Rを変化させたCr,Mo,W,Vなどを含有する多合金白鋳鉄について,開発センサーを用いて測定を実施した結果,現状ではバラツキが大きいことが判明した. 次年度は,多合金白鋳鉄及び球状黒鉛鋳鉄のγ_Rも測定できるセンサーの製品化に向けたより高精度な電磁気センサーの設計を行う予定である.
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