研究課題
小型電磁気センサを使用し、Cr含有量が異なる高クロム鋳鉄の場合や、多合金白鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄等における残留オーステナイト含有量Vγの測定を実施した。(1)高クロム鋳鉄の残留オーステナイト量の測定ここではCrが17%と26%でMoが2%、Crが26%でNiが2%の3種類の高クロム鋳鉄を検査対象とし、Vγが異なる鋳鉄を電磁気センサで測定した際、検出コイルに得られる磁束密度の値の低下度合いB_ηについて検討を行った。電磁気センサに流す励磁条件は500Hz、0.5A一定で、電磁気センサと試験鋳鉄との隙間LoはOmm一定で実験を行った。この結果、Cr、Mo、Niの各値を変化させても明確な違いは得られず、Vγが増加するに伴って、B_ηが同じ割合で低下する事が分かった。(2)多合金白鋳鉄の残留オーステナイト量の測定Cが2.13%と2.41%の多合金白鋳鉄を検査対象とし、Vγが異なる鋳鉄を電磁気センサで測定した際、検出コイルに得られるB_ηの低下度合いについて検討を行った。また電磁気センサに流す励磁条件は500Hz、0.5A一定とし、電磁気センサと試験鋳鉄との隙間LoはOmm一定で実験を行った。その結果、C=2.13%の結果の方がC=2.41%の場合よりもVγが増加するに伴うB_ηは小さい事が分かった。(3)球状黒鉛鋳鉄の残留オーステナイト量の測定ここでは焼入れ温度が異なる球状黒鉛鋳鉄を検査対象とし、Vγが異なる鋳鉄を電磁気センサで測定した際、検出コイルに得られるB_ηの低下度合いについて検討を行った。焼入れ温度変化は、900度~1030度の範囲で行い、各焼入れ温度におけるVγ変化に伴う検出コイルに得られるB_ηの実験を行った。その結果、どの焼入れ温度においてもVγが増加するに伴って検出コイル内のBnは同じ割合で低下傾向を示し、球状黒鉛鋳鉄の焼入れ温度による影響は、あまり見られないことが理解できた。この事から、球状黒鉛鋳鉄の場合、焼入れ温度に関係無く、Bnの値からVγの測定が行える事が分かった。
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IEEE Transactions on Magnetics
巻: Vol.46, no.8 ページ: 3297-3300
巻: Vol.46, no.8 ページ: 3137-3144