摩擦攪拌プロセスなどの塑性加工プロセスを最適化するには、ミクロ組織や変形温度・変形速度などの変形条件が塑性変形挙動に及ぼす影響を把握しておく必要がある。しかし、マグネシウム合金において摩擦攪拌プロセスが行われるような1~10^3s^<-1>付近の高ひずみ速度域における変形挙動はほとんど調べられていない。そこで、Mg-3Al-1Zn合金押出し材の高温かつ高ひずみ速度での圧縮特性を評価した。この結果、高温・高速(約10^3s^<-1>)変形では拡散がもはや律速過程にはならず、室温と同様に転位のすべり運動や双晶変形が主たる変形機構であると結論づけられた。この結果を参考にして、マグネシウム押出し材の摩擦攪拌プロセス条件を設定した。また、1パスの摩擦攪拌プロセスでは組織微細化領域が十分な大きさを有していないため、マルチパスによる摩擦攪拌プロセスを検討した。現状、組織微細化領域が小さく、超塑性評価用サンプルを切り出すことが困難であるため、次年度は摩擦攪拌用ツールの形状およびサイズも最適化する予定である。
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