研究概要 |
現在,ほとんどのAl合金鋳物の製造において,Al-TiやAl-Ti-BおよびAl-Ti-Cなど,Al-Ti系の結晶粒微細化剤が使用されている.結晶粒微細化効果の発現機構に関しては諸説があり,どの機構が主に作用するかを確証する実験結果は今のところない.この結晶粒微細化効果の発現機構の詳細を解明することは,単に凝固工学に新しい知見をもたらすのみならず,新たな結晶粒微細化剤を提案・開発する上で極めて重要である.研究代表者(渡辺)は,この結晶粒微細化剤に繰返し押出し(ECAP)による強ひずみ加工を施すことにより,結晶粒微細化剤中の異質核が破砕され,有効に働く異質核の数が劇的に増加するため,微細化能力が向上することを見いだしている.同手法では,同一体積分率かつ異なる粒径のAl_3Ti粒子を導入することが可能なため,添加量,鋳造温度,保持時間を変化させ系統立てた鋳造実験を行えば,溶解中のAl_3Ti粒子の挙動が解明できる.そこで本手法を用いて,鋳造中にAl_3Ti粒子が溶解するか否かを調査した.本年の主な成果は以下である.1)ECAP加工時のルートを変えることにより,異質核の破砕効果が異なることを見いだした.2)圧延でもある程度の異質核の破砕が行えることがわかり,この結晶粒微細化剤を用いると,微細化能が向上する.3)結晶粒微細化剤添加後の鋳造Alの微細化能を系統立って調査したところ,最適時間が異質核の大きさによって異なることを見いだした.
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