(1)本研究課題で採用のインクジェット電子回路印刷プロセス用高濃度銀ナノ粒子インク合成法である、マイクロ波加熱液相還元法の操作パラメータについて前年度に引き続き検討を行った。その結果、球状、プレート状、ロッド状形状をとる各種銀ナノ粒子均一分散液の合成条件をそれぞれ明らかにした。また実用上重要と考えられる電気伝導性に優れた異方性材料の合成条件について検討した結果、急速昇温速度下、分散安定剤および粒径制御剤を所定のモル比共存させることで、アスペクト比100以上の銀ナノワイヤ均一分散液を合成可能であることを明らかにした。さらに、長鎖アルコールを添加した銀ナノ粒子分散液の表面張力特性とナノ粒子形状の相関について調べた結果、正の表面張力温度依存性がアルコール分子と銀ナノ粒子との相互作用によって増幅されることが明らかとなった。 (2)前年度導入した各種銀ナノ粒子インク用インクジェット装置にXYステージを連動させることで、ナノ粒子インク配線描画時におけるインクジェット滴の基板への着弾、乾燥から薄膜形成にいたる過程をCCDでその場着観察可能なインクジェット電子配線印刷装置を開発した。 (3)基板ぬれ性がインクジェット印刷配線形状に及ぼす影響を明らかにするために、ガラス及び半導体Si基板を対象に、化学的表面改質操作によるぬれ性制御法について検討した。その結果、シリコン樹脂(PDMS)によるシランカップリング分子の基板へのスタンプ転写法(マイクロコンタクトプリンティング)により、ぬれ性パターンを基板上に作成することに成功した。
|