研究概要 |
マイクロ流路内で生成される生体自己組織化構造リポソームのサイズ制御の因子を明らかにするために、マイクロ流路内のリポソーム生成状態を、流速と同速度で移動する観察ステージを用いて観察した。前年度、リポソームを形成する素材であるリン脂質乾燥膜は、初めに気液界面に取り込まれ、その後界面から棒状のリポソームが成長することを明らかにしたが,今年度のさらなる観察によって,成長した棒状リポソームが,マクロな流体力によって,引き延ばされ,得られる球状リポソーム径とほぼ同程度となること,その後気液界面殻離脱した棒状リポソーム下流端が,マイクロ流体力によって,球状リポソームへ分裂することが確認された.また,下流端から放出されたリポソーム径は,棒状リポソーム径によって制御されており,これによって、マイクロ流路を用いたリポソームサイズが制御されることが明らかとなった.しかしながら棒状から球状への変態メカニズムはこれまでの観察によっては十分に明らかとなっておらず,今後さらなる観察によって,棒状から球状へのリポソームの変態機構および球状リポソームの離脱を支配する因子を明らかにする予定である.同時に流速分布の測定をマイクロPIVによって測定し,マイクロ流体力に関して解析し,詳細な生成機構を明らかにする. これらの知見を元に,今後リン脂質量、流量、乾燥条件を最適化して、マイクロ流路を用いたリポソーム形成法を確立する。
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