研究課題/領域番号 |
20560704
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
後藤 健彦 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10274127)
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研究分担者 |
飯澤 孝司 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60130902)
迫原 修治 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80108232)
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キーワード | 感温性ゲル微粒子 / 疎水性相互作用 / 吸脱着速度 / 磁性粒子 / ネットワーク密度 / 反応性界面活性剤 / N-イソプロピルアクリルアミド |
研究概要 |
これまで、感温性ゲルを吸着材に利用する場合、吸着量や吸着速度が小さいという課題があった。本研究では、吸着量や吸着速度の向上のために、共重合モノマーや架橋剤濃度などの組成を変えて感温性ゲルを合成し、合成条件がゲルの疎水性物質の吸脱着特性に及ぼす影響について検討を行った。N-イソプロピルアクリルアミドを主成分とする感温性ゲルに、疎水性あるいは親水性のモノマーを共重合すると、吸着量は疎水性モノマーの共重合により増加し、親水性モノマーの共重合により減少した。これは、疎水性モノマーを共重合させたると疎水性が強まって吸着量は増加し、親水性モノマーを共重合させると、親水性が強まり吸着量は減少したためと考えられる。また、架橋剤の濃度を増加しても、吸着速度に大きな変化は見られなかった。これは、吸着がゲルネットワーク内部でも起こるため、吸着時の高温(収縮状態)ではネットワーク密度が高く、架橋剤濃度を上げて多孔質化の程度を変えても、その影響を受けにくかったためと考えられる。一方、脱着は吸着よりも早く、架橋剤濃度を上げるにつれて脱着速度は低下した。これは、感温性ゲルの転移温度以下である脱着温度では架橋剤濃度が高いほど膨潤径は小さく、ネットワーク密度が高くなるために疎水性分子がゲル外部に拡散しにくくなったためと考えられる。 次に、直径50μmの磁性微粒子を感温性ゲルと複合化して直径150μmのゲル微粒子を作製し、吸着実験を行った。その際、高温での吸着時に微粒子同士の凝集を防ぐ目的で、末端にビニル基を持つ反応性界面活性剤を共重合した。その結果、界面活性剤により粒子の疎水性が低下し、疎水性物質の吸着量は若干減少するが、モノマーと界面活性剤の濃度比を適切に調整してゲル微粒子を作製することで、凝集を抑制しながら吸脱着が可能なゲル微粒子が合成できた。この微粒子は磁石を用いて容易に溶液との分離が可能であった。
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