今年度はとくに、我々の研究グループで開発した脱水用途の新規親水性ゼオライト膜(マーリノアイト膜、MER)についてイオン交換の効果を検討し、ゼオライトケージ中のカチオンのサイズとゼオライト膜の性能、ならびに劣化挙動との相関を整理した。ゼオライト膜は2次成長法により調製したが、具体的には、はじめにカリウムイオンを用いてMER膜を調整し、のちにイオン交換法によりMg、Ca、Sr、Ba等のカチオンを導入してゼオライト膜を調製した。のち浸透気化法(パーベーパレーション)法により水=アルコールの溶液から脱水を行うことでゼオライト膜の分離能ならびに透過流束の評価を行った。その結果、カチオンイオンのサイズが小さくなることによって流束が増大することがわかった。さらに、透過分離性能を40℃の各種有機溶媒含有水溶液を用いて評価した。測定には、リアルタイムガス分析装置(当年度購入)を組込んだ浸透気化性能測定装置を使用したほか、各種キャラクタリゼーションを併用した。酸を共存させた場合の劣化挙動との定量的な相関については検討中である。 一方でやはり我々の研究グループで開発した脱水用途の新規親水性ゼオライト膜(チャバサイト膜、CHA)について検討を行っている。本ゼオライト膜は我々がこれまでに劣化挙動を検討したゼオライト膜(フィリップサイト膜、マーリノアイト膜)に比してきわめて安定な脱水挙動を示す特徴を持っており、これらの差異をキャラクタリゼーションにより明らかにしようと検討中である。
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