研究概要 |
前年度は,まず故障診断問題を解いて,故障流量計(測定値が管理幅を超えるバイアスを持つ)の候補を探索した結果をふまえて,故障流量計の誤差は管理幅を超える誤差の推定を,さもなければ管理幅内の誤差の推定を行う手法を提案した.その結果,故障診断で故障流量計を見逃しても,誤差推定の段階で見逃していた故障流量計を検出すると共に故障流量計の誤差も管理幅を超える推定結果を得ることができた.しかし,同時に故障している流量計の組合せ(故障流量計の候補集合)が複数得られる場合に,それぞれの候補集合での誤差推定結果より,候補を絞り込める場合と絞り込めない場合があった.候補を絞り込めない場合は,誤差の推定値としてどの場合を採用して良いか判断できない.この問題を解決するための手段として,H21年度は誤差推定法の定式化を変更した.すなわち,複数の候補集合が得られる場合には,それぞれの場合において収支式の掃き出し計算を行っていて,正常な流量計が満足すべき関係式が異なっている.その点に着目して,正常な流量計の誤差推定を先に行い,その後,故障流量計の誤差推定を行うといった2段階誤差推定法を採用した.さらに,前年度の数値実験データに適用して結果の比較検討を行った.その結果,前年度の結果よりも絞込が可能となる場合が増えた.これらの成果を,国際会議や学術雑誌などで発表した.
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