研究概要 |
H21年度に定式化を変更した誤差推定法の理論を再検証した結果.理論的には変更前の定式化と全く同じ結果が得られることが証明できた.そこで,プログラムが簡単な以前の定式化に戻して2段階誤差推定法の改善を行った.具体的には,制約条件である物質収支式に成分収支式を追加した.成分収支式では,組成の分析値に含まれる誤差と流量の測定値に含まれる誤差の掛け算があるために,そのままでは非線形な制約式であるが,組成の分析値に含まれる誤差を予め補正する方法を開発していたので,その補正を行ってから流量の誤差推定法に活用した.結局のところ,物質収支式だけを用いても成分収支式を追加しても,故障診断問題は線形計画問題を解き,誤差推定問題は二次計画問題を解くプログラムを共通に利用することができる.そこで,エタノール精製プラントを対象にした数値実験により検証した結果,物質収支式だけを利用したときは混診や欠報になったケースでも,成分収支式を追加することによって,故障流量計を特定できるケースが増加して,誤差の推定も妥当な結果を採用しやすくなった 一方,4年連続運転期間中は,流量計のバイアス誤差の進展や,運転条件の変更などのために複数組の定常状態測定値が得られる.前述の方法は,その中のある一組の定常状態測定値だけを利用する方法であるが,複数組の定常状態測定値を積極的に活用する誤差推定法も開発した.すなわち,誤差の絶対値が時間経過と共に小さくなることはないという制約を加えたものであり,非線形最適化問題として定式化した.本法でも成分収支式を利用することも可能であるが,分析の手間をかけずにオンラインの流量測定値だけを利用して検証を行った.その結果,複数組の定常状態測定値を利用することによって精度良く故障誤差の推定を行うことができた.これらの成果を国内外の会議で発表した
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